これだけは好きという1つのものを見つけること
――本の材料はどのような過程で、浮かび上がってくるのでしょうか?
西山昭彦氏: 今までの積み重ねの中から自然と出てくる感じかもしれません。いつも、何かヒントを考えようとか、変化を考えよう、と動いているのかもしれません。ビジネスパーソンについていえば、大事なことは、自分の仕事テーマを決めるということ。そして、そのテーマに関して長期のビジョンを持っているかどうか、ということ。学びには「好き」ということが一番良い。極端に言えば、ほとんどの科目はCでも、これだけは好きというのが1個見つかればいいと思います。地方勤務や営業など色々な仕事がありますが、好きなものを見つけて追求していけば、発見があります。それが材料でしょうね。それを整理し体系化していくことができたら、毎日楽しくてしょうがないはずです。私は、ずっと楽しいです(笑)。ビジネスパーソンの生きるプロセスに、テーマはいくつも出てきます。
――日々気付いたことなどは、何かに書き記したりなどしていますか?
西山昭彦氏: ポストイットに書いて貼りつけるとか、手帳に書いたりして、アイデアを残しておきます。いつ思いつくかわからないので、家ならばベッドの横などにポストイットを置いておくことが、大切なことです。先ほどの『編集長の情報術』の時に、日経ビジネスの編集長が、「帰りは一駅手前で降りて、歩いて帰る。会社のデスクではアイデアが出ないけれど、その時には出るんだ」と言っていました。とにかく、メモでも電子媒体でもサッと書けるものがあればそれでもいいのです。100のアイデアのうち、実現するのは10もないんですが、まずは残しておくことが大事です。
新しい本や人に会うことで生まれる差
――お仕事や執筆活動などの原動力は、どういったところにありますか?
西山昭彦氏: できるビジネスマンを考えてみると、売り上げとかの日常のこと「こういう売り方はどうか」といったプラスアルファの部分で改革をして大きな差が付くわけです。でも誰かがすでにやっていることも多いので、それをどう上手く入手し使うかです。そのためには、本や人に出会って、どんどん吸収していくのがいい。私は年に150日食事会をやっていますが、それが私のエネルギーとなっています。しかも、毎回違う店で違う人、違う話題を語り合うといった日々で、20年ぐらい続いています。でも、色々な人に会っているだけでいいかというと、やっぱり基盤がなきゃいけない。自分の専門科目を1つ作っておかないと、砂上の楼閣になってしまいます。文系の場合、サラリーマンならば経済学か経営学を、独学でもいいのできちんと学んだ方がいいと思います。みんなが理論を持って分析していけば、仕事も改善できます。見つけだした改善点を会社に提案すればいいわけです。仕事の原動力は基盤と情報でしょうか。それを皆がやれば仕事を改革でき、日本経済もいいほうに変えていけるはずです。
――今後の展望をお聞かせ下さい。
西山昭彦氏: 人生を検証するというテーマの本を1冊作りたいと思っています。50年前の小学生の全国模試の1番から100番、この人たちがどういう人生を歩んでいるのかというのを、まとめてみたいです。生涯キャリア全体を見ることの出来る、そういう本に挑戦してみたいと思っています。
(聞き手:沖中幸太郎)
著書一覧『 西山昭彦 』