五百田達成

Profile

1973年、東京都生まれ。東京大学教養学部卒業後、角川書店、博報堂、博報堂生活総合研究所を経て独立。「コミュニケーション心理」「恋愛・結婚・仕事」「社会変化と男女関係」をテーマに講演・執筆を行う。 近著『実はあなたもやっている!?ウザい話し方』(PHP研究所)の他、13万部を突破した『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング)、『今すぐ「グズな心」をやっつける方法::あなたの背中を押すヒント』(三笠書房)、『結婚できないのはママのせい? 娘と母の幸福論』(阪急コミュニケーションズ)など多数。

Book Information

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

発信することから学んだこと


――角川書店ではどのようなお仕事をされていたんですか。


五百田達成氏: 最初は、雑誌の編集者からスタートしました。次にいよいよ自分の小さなころからの夢だった「本」に直接携わる仕事、書籍の編集者になりました。書籍という作品づくりを学んでいくうちに、改めて「自分で本を書きたいな」と思いました。28歳の頃です。その後、より大きな場所・刺激を求めて博報堂へ転職。マーケティング視点や生活者心理など、それまでとは違った視野と人脈を得られたのは、とても貴重なことでした。

――そして博報堂を経ていよいよご自身で発信されるようになるんですね。


五百田達成氏: そうですね。当初からメディアを目指し、携わることに迷いはありませんでしたが、その分視野が狭くなっていたのかもしれません。博報堂を辞めてからは、「どういう物書きになりたいんだろう」「そもそも食べていけるのか」などなど、これからの身の処し方について自問自答する日々が続きました。実に1年間です(笑)。生活としては自由になったはずなのに、理想や夢には近づけない。精神的にはかなりキツい時期でしたね。そうした「人生の踊り場で悩む」という実体験があるので、ライフキャリアに悩む人向けの相談サービスを始めたという面もあります。

――執筆にもその想いが反映されているように感じます。


五百田達成氏: 「目線がやさしい」「読みやすい文章」と言っていただくことはありますね。「情報よりも視点、テクニックよりも心がまえ」がモットー。一方的に送り届けるのではなく共感を意識しつつ、分かりやすく平易に。それでいてきちんと論理的で、必ずひとつ新しい見立てを盛り込む。そういった書き方は心がけています。

知性と野性、そしてバランス感覚


――五百田さんの執筆の源泉は、どこからくるものでしょうか。


五百田達成氏: 結局、自意識過剰なんだと思いますよ(笑)。あれも言いたい、これも思いつく。物書きとしてはある程度当然かもしれませんが、「僕はそこそこ面白いことを言えるはずだし、“面白い”と思ってくれる人がいるはずだ」という、祈りのようなものがバネになっています。あと、その場を盛り上げようというサービス精神は強いですね、少し過剰なぐらいに(笑)。「あの人がいると場が和む」「五百田さんとの話は楽しい」と思われたい。無口で孤高の天才肌にはなれないんですね。シーンとなるとすぐしゃべっちゃうし、その場が円滑に進むように気をくばっちゃう。「そういうのって疲れませんか?」といぶかしがられることもありますが、慣れというか習性というか「性(さが)」というか。

――編集者と書き手、両方の五百田さんがせめぎ合う感じでしょうか。


五百田達成氏: 作品を作る人には、ある程度パワーや突き抜けたところ、「俺の話を聞け!」といった部分が必要だと思うんです。でも僕はもともと編集者だったこともあって、場の空気を見て落としどころを考えてしまう性格があって、突き抜けきれていない気がするんです。なので最近は、企画やアイディアを作るときには、丸まりすぎることのないように、だーっと書き散らしたメモのような形にするようにしています。そのほうが、編集者さんとしても、料理のしがいがあるというか。そこから一緒に完成された「本」という体裁にもっていくんです。しかしその過程で、また元編集者の癖が出てしまうことがあって。もちろん、それがいい方向に働く場合もある。さじ加減が難しいですね。

――編集者としても経験を積んできた五百田さんですが、理想の編集者像というものはありますか。


五百田達成氏: 編集者さんとは、ディスカッションというか意見交換というかそういうものをしたいと思っています。「こういう感じで書いてください」「はい、分かりました」と、部屋にこもってコリコリ書くのは、どうも性に合わないようなんです。ジャズのように、書き手と編集者がセッションしていく中で作り上げていきたい。単に僕がさみしがりだからかもしれませんが(笑)

話していく段階で色々なものが生まれるような関係がいいと思っています。流れや構成、言葉遣いや校正も、いきなり最初から完璧を意識してやってしまうと、面白くなくなってしまう。だから、いつも自分の中でバランスを考えています。
また、いいものを作るというだけでなく、売る・売れるというところまで、一緒に高い意識を持ちたいと考えています。編集者さんとは企画段階から「で、この本、どう売ります?」という話をしています。

――作って終わりではなく、届ける事を意識した作品づくりが大事なのですね。


五百田達成氏: おかげさまでベストセラーになった『ここさめ』ですが、この本の担当編集の方は、実にすごい方でした。企画力、言語センスもさることながら、自身も書店の現場におもむくフットワークと情熱にあふれ、「今こういう本が売れる」という目利きが的確で説得力があり、正直、感動しました。僕自身、編集者時代にそのような仕事をやってきていただろうかと考えさせられました。賭け・冒険の要素は、ビジネスですからもちろんあります。たとえ大空振りするとしても「その案、乗った!」と思えるような売り方・方向性を示してくれる、プロデュースセンスのある方と仕事がしたいと思います。

著書一覧『 五百田達成

この著者のタグ: 『心理学』 『考え方』 『生き方』 『可能性』 『紙』 『本屋』

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
著者インタビュー一覧へ戻る 著者インタビューのリクエストはこちらから
Prev Next
利用する(会員登録) すべての本・検索
ページトップに戻る