本はかわいくて、愛おしい
――五百田さんにとって、「本」はどんな存在ですか。
五百田達成氏: 今、本を買う人は減っているし、紙なんて流行らないと言われていますが、でもやはり愛おしいし、僕は本が好きです。「書くだけで、本だけで食っていく」なんて夢物語かもしれません。それでも「怖いけれど、やってみたい・・・かな」というのが正直な気持ちです。
――数ある仕事の中で、「本」を選ばれた覚悟でしょうか。
五百田達成氏: それほどたいそうなものではなく、「やっぱり本はいいな〜」ということです。本は手触りも含め、かわいくてかっこいい。小さいころからインターネットに慣れ親しんでいた人は、何かを発信したいときにネットを選ぶでしょう。ノスタルジーかもしれませんが、職業を聞かれたら「本を書いてます」と言いたいのです。
本を手にとった人の期待を少しでも上回るようなものを作りたい
――今年は、どんな作品を出されるのでしょうか。
五百田達成氏: 先ほども言いましたが、1月に『実はあなたもやっている!?ウザイ話し方』が、オリジナル書き下ろしでPHP文庫から出ました。少々挑戦的なタイトルですが、内容としては「ちょっとしたコミュニケーションのクセやささいな言い回しのせいで、人づき合いが狭まっていくのはもったいない」というメッセージを込めています。
そのほか、おかげさまで現在3冊ほど企画が進行しています。繰り返しになりますが「売る=届ける=重版」にこだわる年にしたいですね。
実は、長嶋有の好きな言葉が重版(増刷)だそうで、「重版は、周りが予想したよりもちょっとだけ売れたという証拠だから、とてもいい言葉」ということを言っています。サイン会で「何かひと言添えてください」と頼まれると、サインの横に「増刷」と書くのだとか(笑)。僕の本も、手にとった人の期待を少しでも上回るようなものにしたいですよね。
――読者の期待を上回るような、新しいチャレンジも考えられているのですか。
五百田達成氏: 「コミュニケーション心理」「ライフキャリア」は広いテーマだと思うので、これからも色々なジャンルに切り込んでいけたらと思っています。ちょっとしたショートストーリーも書いていて楽しいし、脚本や監修といった形で大きな作品に関わるのも面白そうです。ある尊敬する先輩に「人が書く文章とは、その時点での人生そのものだ。日々の生活・それまでの経験・培った価値観、すべてがにじみ出ている」と言われたことがあります。夢、楽しさ、将来、安定……。悶々と葛藤したこともありますが、今現在は、「文章を書き、本と一緒に、楽しく生きていく」ことを目指そうと考えています。
(聞き手:沖中幸太郎)
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