探求したものを本に記し、伝える
――ベストセラー『骨盤教室』をはじめ、探求したものが本によって伝えられています。
寺門琢己氏: その探求で得たものを自分だけのものにしておくのはもったいない、そもそも多くの方に知ってもらうことでこそ意味があると考え、本に記しました。今まで多くの情報を本に記してきましたが、どの情報も、知って身に落とし込んでくれれば、その人にとって、損のないことばかりです。その一方で、探求から新たな発見が出てくるので「これで終わり」と満足することはありません。
最初の一冊『かわいいからだ 気持ちよくキレイになれる115の方法』を世に出すまでが大変でした。今でこそ、サブカルチャーや健康というコーナーがありますが、当時は、そういったカテゴリーがそもそもなかったこともあって、企画が立ってから5年間、毎年企画会議で落とされました。「なぜ一整体師の個人的な見解を一冊の本にする必要があるんだ」と、そういう時代でした。
――どのようにして、最初の一冊は生み出されたのでしょう。
寺門琢己氏: ぼくは20年以上ずっと、絵本作家の五味太郎先生のからだを診させていただいているのですが、あるとき「その話面白いから、本にするといいかもしれない」と言われ、そこから先生の周辺の方が興味を持ってくださるようになり「寺門整体へ行ってみようか」と、出版関係者の方が治療に来られるようになりました。
具体的に回復していく様を目の当たりにし、信用が生まれ、西洋医学ではないぼくの診療が理解されるようになっていきました。そんな中で、当時、整体の治療に来られていたメディアファクトリーの社長が、独断に近い形で「本を出そう」と決断してくれました。出版から3ヶ月ほど経ったころ、名古屋で突然売れ始めて、駅ビルの中にある三省堂書店さんでランキングが1位に。そこから、全国に広がりました。
――ノウハウを余すことなく伝えられています。
寺門琢己氏: 外に出しても、情報の価値が失われるというような意識はないのですが、似たようなことを、曲げて表現されるのは、少し困りますね。正しく使ってほしいです。自分の情報を、さらなるからだの解明に使ってほしいですね。ぼくが探求して得たものを、後世に残る形で記録し、それをいつか誰かが再度興味を持って、再検証し始めてほしいですね。
本作りの際は、色味であったり、イラストの使い方であったり、切り口というのが楽しいところです。人は瞬間的に大事な決定をする生きものなので、読者の瞬間に入り込めなければ、あまり意味がありません。ですから、すごく直観的な領域で本を作っています。