「本」は編集者との出会いで出来た有機的なもの
――『かわいいからだ』という表現、素敵ですね。
寺門琢己氏: タイトルや目次はすべて、早朝にふっと降りてきます。夢と目が覚める境目で、ノートに書き留めます。それを書き溜めて、編集者と打ち合わせしながら「本」に仕上がってきます。編集者と著者は、お互いにいいねと感じた時に、初めて動きます。そういう意味では、本作りは有機的なものだと思います。両者が企画にほれ込んで、それがある熱量を超えた時に本になっていると思います。
ただ最近は、マーケットとニーズを見てから著者を選定する、という流れにもなっています。そうして作られていく本は、あまり愛されず、存在感も薄いものです。『かわいいからだ 気持ちよくキレイになれる115の方法』が、奇跡的な部数で伸びたのは、その本が恋愛にも似た熱量の結果、生み出されたものだったからだと思います。これからも、楽しく、直観に訴えるように伝えていきたいと思っています。まだまだ、これからです。
自分の体を知って、もっと自由に
――やるべきことは、まだまだたくさん。
寺門琢己氏: そう、やりたいことの半分も終わっていません。たぶんずっとそんな感じなのかもしれません(笑)。ぼくの役割は、人がより良く生きていけるためにもっと体の仕組みを伝えることです。
今、新たに設計しているものが、からだの性能を最大に引き出すための自分のチューニング方法です。楽器の調律のような感じで、コンパクトで必要最低限で、あまり無駄な道具などがある場所に行かなくてもよく、一つの工程が20分ぐらいで済むようなもので、最高の自分の状態を維持できるものです。
また、日本はこれから超高齢化社会に突入します。長生きするということ自体は嬉しいことですが、からだのトラブルも色々と起きてきます。そのすべてを医療費で賄うことはできませんし、家族の方がずっと張り付いて看ているわけにもいきません。お年寄りの方が、自分で自分の状態を少しでも分かっていれば、寿命を全うするまで自分で立ち歩けるようになれれば、幸せですよね。その手助けをこれからしていきたいですね。
(聞き手:沖中幸太郎)
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