辻田真佐憲

Profile

1984年、大阪府生まれ。慶應義塾大学文学部卒業、同大学院文学研究科中退。現在、近現代史や文化史をテーマに執筆活動を行っている。著書に、『たのしいプロパガンダ』(イースト新書Q)、『ふしぎな君が代』『日本の軍歌』(以上、幻冬舎新書)、『愛国とレコード』(えにし書房)、『世界軍歌全集』(社会評論社)がある。

Book Information

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表現欲求の手段としてのホームページ『西洋軍歌蒐集館』



辻田真佐憲氏: 学生時代に学んだ哲学専攻では、ドイツ語やフランス語の原書購読をしていたのですが、「せっかくなら読むだけでなく、学んだことを表現したい」と思うようになりました。その頃よく読んでいた、「量子論と複雑系のパラダイム」というサイトの構成を参考に、自分の興味がある文系の分野をまとめようと思い始めました。

フランスやドイツに限らず、世界各国の軍歌を文語調などで日本語に訳す内容で、毎日のように訳しては、サイトに公開し続けました。他にも日本の歴史や文化についても書いていたのですが、需要と供給のバランスで、だんだんと軍歌の比重が増していき、はじめは別の名前でやっていたサイト名も『西洋軍歌蒐集館』となりました。



情報のネット 体験の読書



辻田真佐憲氏: その後大学院を経て、短期間公務員として働いていたのですが、ある日、そのサイトの書籍化オファーを受けました。その頃は、文筆業一本でやっていた訳ではなかったので、仕事が終わって、帰宅してすぐ執筆という毎日でした。自分の生きている証を確認するような、生存確認のような感じの二年間半でした。

――『世界軍歌全集』には、ドイツ語やフランス語以外のものも多数紹介されています。


辻田真佐憲氏: 辞書を買ってきては、格闘していました。軍歌の歌詞は200ワードくらいでしたが、パズルのように一句一句つなぎ合わせる感じ。三時間やって一行訳したり……あの当時だから書けたのだと思います。出版後、もっと執筆と研究に注力したいという思いが大きくなり、翌年一念発起して執筆活動を専業することにしました。働きながらやっていると限界がありますし、書かなくても食えてしまう状況を絶って、専念したかったのです。

本づくりを通して、学ぶことはたくさんあります。私はオタク志向なので、どうしても視野が狭くなってしまいますが(笑)、編集者の方が会話を通じて話題を広げて刺激してくれたり。また書くのはひとりですが、それに対するコメントなども、自らを冷静に見つめ直せるので貴重なものです。

本は、知識を得る最良の手段です。体系だった知識を、読書によって血肉化できる。昨日読んだネットの情報は忘れても、本であれば、10年前に読んだものであっても、忘れていないものです。

執筆にあたっては、単なる歴史の本にならないよう、「今」とどうつながっているのかという側面をとても重視しています。現代と歴史を往復することで、「今」が見えてくる。そしてアカデミズムではやらないような、自分にしか書けないものをめざす。そうした考えで書いています。

著書一覧『 辻田真佐憲

この著者のタグ: 『海外』 『哲学』 『考え方』 『政治』 『歴史』 『研究』 『レコード』 『子ども』 『メディア』 『文系』 『アカデミズム』 『ドイツ語』 『日本語』 『ホームページ』 『古本屋』 『文化』 『近代』 『娯楽』 『ミリタリー』

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