河合太介

Profile

成長、変革、戦略推進のための組織人事の専門家 現在特に中心とするテーマはリーダーシップとチーム力と職場コミュニケーション。その他、事業プロデューサーとして実務の戦略、マーケティングにも明るい。金融系総合研究所、外資系コンサルティングファーム経て現在に至る。代表的な著作に27万部超のベストセラーになった「不機嫌な職場」をはじめ、ケビン・D・ワンのペンネームで10万部超のベストセラーとなった「ニワトリを殺すな」等多数。早稲田大学大学院 商学研究科 非常勤講師も務めている。

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偶発的キャリアを地で行く人生



河合太介氏: ちょっと話は長いんですけれど、その時に日本がちょうど斜陽に入っていくんです。その時に僕は、北海道のリゾートホテルの再生・立ち上げを支援する機会に恵まれまして、そこの社長にほれて、やっぱりこの社長を成功させたいなと思ったので、1回コンサルティング会社を休職して、そこを1年間ぐらい手伝いをしに行ったんですよ。もちろん東京を拠点にしていて、北海道のほうへは出張で行きました。これが社会を客観視することができるいい機会になりました。その時に斜陽化していく日本をコンサルティングの外から見て「これはいかんな」と思ったことがあったんです。それは何かというと、日本的経営の否定だったんですよ。2000年頃って、とにかく、日本の経営の仕方は全て間違っていると、グローバルという名のもとのアメリカ型が正解だという風潮がすごく強かったんです。僕はそれは違う、何かがおかしいと思った。当時はそういう意見が聞く耳を持ってもらえない時代でした。

――その時に、河合さんはどう感じて、動かれたんですか?


河合太介氏: 僕の中で言う「あるべき成果主義」と「社会に出回っていく成果主義」のギャップ感もすごく感じていて、これはアカンなというところでたまたま本田宗一郎さんの研究をする機会に恵まれたんです。本田宗一郎さんの言われていることは、実はものすごく普遍的な話で、日本的を超えて世界にとって普遍的だし、しかもすごく日本的であると思ったんです。それで、これをもう一度ちゃんと伝えたいと思って、『ニワトリを殺すな』という本を書いたんですね。これは、より多くの人に読んでもらうために寓話という仕立て方をしたんです。当時の風潮からした時に、日本人が書くと多分浪花節って言われて売れないかもしれないと思ったので、あえて外国人の名前をペンネームにして、外国人の視点から「ここが大切なんだよ」ということを伝えたほうがいいなと思って、ケビンというペンネームにしたんです(笑)。

――するどい戦略ですね。


河合太介氏: 11万部ぐらい売れました。僕ね、キャリアって何十年後にどうなりたいというキャリアの積み方というのもあると思います。でも僕はそれだけではないと思っていて、「偶発キャリア」というんですけれど、偶然が引き起こすキャリアみたいなものもあると思っています。自分の人生をたどっていくと、別に独立しようと最初から思っていたわけではないんです。40歳の時に独立しようとか思っていたわけではないし、外資系のコンサルティングに入ってキャリアを立派にしようとかって思ったわけではなくて、その時その時に自分が一所懸命になれるものを選択していた。仕事って、全部の仕事が楽しいわけではないじゃないですか(笑)。



でも、その中でも自分がすごく情熱を傾けられるものがたまに出てくるんですよね。そのタイミングがあった時に、金銭的に実入りがいいかどうかじゃなくて、その時の自分の情熱を傾けられるものかどうかで選択して頑張ると、不思議とその領域の力がついていく。例えばさっきのホテルの支援は、純粋に支援したい気持ちでやりました。でも、その後日本に企業の再生ブームというのがやってくるんです。で、別に僕は再生コンサルティングノウハウをつけようと思ってそこをやったわけではないんです。だけどリアルにそこのお手伝いをしたので、うまくいったこともあるし、たくさんの失敗をしたこともあって、その再生ブームになった時に「誰か組織人事のコンサルティングでできるやつがいるの?」となった時に、僕はリアルに経験しているので、名前は言えないけれどもその後の大型再生案件のいろんなプロジェクトリーダーとかをやらせてもらう機会に恵まれた。

例えばこうやって一所懸命やっていると、面白いんですけれど一所懸命になる人たちが集まってきて、異業種交流会に行って名刺交換するのとは次元が違う、本当の意味でのいい人脈ができるんですよ。で、面白い人同士がまた人を紹介しあうので、多分僕はコンサルタントなのになんでこの人とつながっているの?という、ビジネスの領域を超えた、スポーツだとか芸能だとか、そういう領域までを含めたいいコミュニティーが自然とできてくれているんですね。

――それは素晴らしいですね。


河合太介氏: 別にその人脈を利用しようとも何とも思っていないんですよ。でも楽しい人たちなので、飲みに行ったりするとまた面白い人たちを連れて来てくれる。面白いのが、そこからものすごくいろんな情報をもらえるんですよ。例えばF1のレーサーの方と知り合いになります。で、F1のレースの話を色々聞いていくうちに、F1のレースって個人の能力も大切なんだけれど、あそこまで行くと実は個人の能力は紙一重だと。レースに関わるチームビルディングの能力がすごく重要という話で、「へぇー」とかって思うじゃないですか。そこで「そこで大切なことって何なの?」だとか、「なぜ失敗するの?」みたいな話を飲みながらする。それはF1の話なんだけども、僕からすれば、ビジネスに引き寄せたら「これって当てはまるな」とか思って、それがまた自分の中の発想につながっていくんですよ。これがまたコンサルティングに結果的に生きていくわけですね。

――生きていることが仕事であり、貢献でありという、素晴らしい状態に今なっているんですね。


河合太介氏: だからある意味「利他」ってすごくいいことだなと思っています。当然色々な人と会った時にこちらも何か面白いことを言わないと面白いことは出てこないので、その人を利用してやろうだとか、そんなことを考えているとろくなことがない。本当にフラットにそういうことをやっているとおのずといい人間関係ができて、いいインフォメーションが得られて、本を書く上でのヒントになったりします。

――全てにおいて「利他」という行動理念のもと仲間と集まることによって、相互作用というか、どんどんいい状況ができていくんですね。


本を読んでもらえなかったので、自分で色々な本を読むようになった


――では、本についても伺えればと思います。河合さんは幼いころから本を読んでいらっしゃいましたか?


河合太介氏: ちょっと少しずつひもといていくと、僕がまず3人兄弟の末っ子なんですよ。しかも年の離れた末っ子なんです。実家が商売をしていて、年の離れた3人目なので、絵本とかを読んでほしくて父親のところへ行ったりするじゃないですか、そうすると「自分で読め!」と言われるんですよ(笑)。文字も満足に読めるかどうかわからないぐらいなんですけれど、自分で読めと言われて「確かに自分で読まなきゃな」みたいな感じで(笑)。だから、幼いころから本が友達にはなっていった。これは自慢とかそういう話ではなくて、相当小さいころから文字が読めるようになっているんですね。

だから僕は絵本を読んでいる記憶がないんです。父親の書棚に置いてあったような戦争の実録写真集を絵本代わりに読んでました。それは、幼稚園生の僕にはすごく強いインパクトがありましたね。多分年が離れちゃっているから兄や姉が読んでいた絵本は片づけられていたと思うんですよ(笑)。でも、その中の1冊で僕がものすごく好きだったのが、今はもう有名になっている『チョコレート工場の秘密』なんですよ。多分何回も繰り返して読んだ本と言えば『チョコレート工場の秘密』です。あれはすごく好きでしたね。

著書一覧『 河合太介

この著者のタグ: 『漫画』 『コンサルティング』 『組織』 『経営』 『キャリア』 『独立』 『幸せ』 『志』 『利他的』 『イメージ』

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