河合太介

Profile

成長、変革、戦略推進のための組織人事の専門家 現在特に中心とするテーマはリーダーシップとチーム力と職場コミュニケーション。その他、事業プロデューサーとして実務の戦略、マーケティングにも明るい。金融系総合研究所、外資系コンサルティングファーム経て現在に至る。代表的な著作に27万部超のベストセラーになった「不機嫌な職場」をはじめ、ケビン・D・ワンのペンネームで10万部超のベストセラーとなった「ニワトリを殺すな」等多数。早稲田大学大学院 商学研究科 非常勤講師も務めている。

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仕事のヒントを与えてくれるのは、今も昔も「漫画」



河合太介氏: あと、実は僕の発想とか、物事をできるだけわかりやすく表現する方法とかの原点はどこですか、と言われると、それは漫画なんですよ。これも本当に幼稚園生が読んでいいかどうかわからないですけれど、家に兄が読んでいた漫画雑誌が置いてあるわけです。だから幼稚園生にはふさわしくないと思うのですけれど、当時だと『がきデカ』とか、『トイレット博士』だとか(笑)。当時のジャンプ、チャンピオン、マガジン、全部置いてありましたね。(笑)。でも幼稚園の時からそれも並行読みしていて、漫画がとにかく好きでした。今も実は読んでいて、年老いた母親に、「あんたね、立派なスーツも着た男が立派なカバンから何を出すのかなと見ていたら、漫画雑誌かい」と叱られました(笑)。

――河合さんが漫画から発想を得ているっていうのは意外です。


河合太介氏: いまだに、とにかく時間があったら漫画ですね。僕は漫画をお勧めしていて、漫画の表現力とか発想力とか、あのページ数の中に言いたいことを詰める能力だとか、僕は漫画家さんをすごく尊敬しているんです。幼稚園のころから、漫画から発想の仕方とかを知らないうちに学んでいますね。特に学んだのはストーリーです。僕は講演もそうなんですけれど、スライドを使って1枚1枚説明していくプレゼンテーションってやらないんですよ。ほとんどコンサルタントがやるロジックチャートみたいなものはなくて、例えば「国際協力」と言いたかったら、「国際協力」がただ単に文字サイズ50ポイントになっているものと、国際をイメージする絵か写真がはってあってあるものだけを掲げてあるだけで、それをもとにしてストーリーを話すんです。そこにまつわる物語を。

――そうすると、各人おのずとイメージができるんですね。


河合太介氏: そうなんですよ。だって、説明したって面白くないですから。それもコンサルティングにすごく生きている。これは多分漫画からの発想です。漫画が持っている、僕に与えてくれた影響力というのはとてつもなく大きくて、人生が面白くなった。

そろばんでつちかわれたイメージング力



河合太介氏: この話はちょっと脱線ですけれど、家から歩いて20メートルぐらいのところにそろばん塾があったんです。そこの待合室にたくさん漫画が置いてあった。子どもたちが多分置いていくんでしょうね、先生が買うわけではなくて。

――何かイメージができます(笑)。


河合太介氏: 幼稚園の時、そろばんをしに行くためではなくて漫画を読みたくて、そろばん塾の待合室へ行っていたんです。そしたら先生が、「漫画ばっかり読んでないで、1回そろばんもやらないか」と言ってくれて、幼稚園の時にまだ足し算も引き算も習っていないわけなんですけれど、わけもわからずそろばんをやってみたんですよ。結構面白いじゃんとやっていたらハマって、小学校3年生ぐらいには初段を取って、県で2位とかになったんです。それはそれで面白い偶然が起きていて、そろばんができて人生何か得になったかどうかというと、そろばんが有段になっていくと実はそろばんを使わないんです。そろばんを使っていると競技大会で勝てないんです。多分テレビなんかでも、ものすごい桁のやつを1発で暗算で解く人とかって出てくるじゃないですか。そろばんを使っていたら競技大会で間に合わないので、全部頭の中でやるんですよ、競技大会って。

――そうなんですか。暗算も手でやるのではなく、それをさらに飛び越して。


河合太介氏: だから僕は例えば今ここに「201」って書いてありますけれど、アラビア文字で絶対入ってこないです。数字が全部そろばんの珠に置き換わるんです。アラビア文字で数字が見えないんです、全部珠。全ての数字がそうなんです。これは多分人には見えないからそんなわけがないだろと思うだろうけれど、有段者は多分皆さん同じことを言うと思います。珠に見えると思います。これは何に役だっているかというと、ビジュアル的に頭の中に考えを組み立てていく力を作ってくれているんですね。別に僕はそれで数学が大得意になったわけでもないので、唯一すごい価値があるとすると、そこから物事を頭の中でビジュアル的に整理していったりだとか、マップを書いていく力だとか、多分それはもう1つ発想していったりしていくところで、その時の小学校までの原体験はすごく大きいと思っています。

浅田次郎で人の本質を、宮部みゆきで人の心の闇を知れ



河合太介氏: 本の話に戻すと、よくこういう仕事をしていると、講演会とか研修とか終わった後に「どんな本がお勧めですか?」と言われるんです。で、僕は困っちゃうんですね。皆さんが期待するのってビジネス本を期待するわけですよ。高名なアメリカのハーバードの先生の本だとか。実は僕、ビジネス書をほとんど読まないんです(笑)。特にノウハウ本なんかは絶対手にしない。ビジネス書としても、哲学系の、思想や考え方を示すようなものは読むけれど、ノウハウ本は読まない。大切なのはノウハウじゃないんですよ。その考え方を自分のところに引き寄せた時に、どうそれを形にするのかということが大切なんです。いずれにせよ、ビジネス書を読むかと言われると、自分の現時点での読書量の中で言うと、多分ABC分析をしていくとCの末端みたいな(笑)。で、講演会や研修会の場で「漫画」とはなかなか言えないんですよ。

――もし漫画ですって答えたら、冗談として取られてしまいそうですね。


河合太介氏: 冗談にしか取られないですよ(笑)。で、漫画の価値を伝えるためには今話したようなことをイチから伝えないといけないので難しいわけです。でも、僕が尊敬する1部上場企業の経営者で、ものすごく優秀な経営者がいて、彼はやっぱり『ワンピース』が大好き、ワンピースから学ぶものが多いと言っています。だから実は経営者の中で、漫画が大好きな人は多い。

――講演などでは、どういった本をお勧めしてるんですか?


河合太介氏: 浅田次郎さんと宮部みゆきさんの本です。特に人系、組織系をやっている人にはこのお二人の本をまず読んでくださいと言うんです。本当の意味での人の人情、利他の大切さ、その関係性を知りたかったら、ビジネス書を読むよりも浅田次郎さんの本を全部読んでくださいと言ってます。人間にとって大切なものの本質が本当によく書かれています。そして、人間の持っている暗闇の部分をこれほどわかりやすく表現している方はいないということで、宮部みゆきさん。人間の善なる部分と、善を突き通そうとするがゆえの葛藤は浅田次郎さん、僕は本当にあのお二方の小説はとにかく前々から大好きで、自分の中で、人と組織のコンサルティングをしていく上でものすごく影響力を持っている著者といえばこの二人ですね。すごく尊敬しています。

著書一覧『 河合太介

この著者のタグ: 『漫画』 『コンサルティング』 『組織』 『経営』 『キャリア』 『独立』 『幸せ』 『志』 『利他的』 『イメージ』

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