戸梶圭太

Profile

1968年東京生まれ。デビュー作は『闇の楽園』。著作に『なぎら☆ツイスタ~』『湾岸リベンジャー』『アウトオブチャンバラ』『さくらインテリーズ』『チープトライブ』『誘拐の誤差』『原子力宇宙船地球号』『レジスタンス、ニッポン』『おじいちゃんもう一度最期の戦い』など。最新刊は『劣化刑事』。現実世界で決してかかわりたくない類の人間が暴力や己の汚い欲望などによって自滅していくさまを意地悪なコメディタッチで描いた作品が多い。
【公式サイト】http://tokajungle1.com/

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就職は考えず進学、時代はバブルだった。


――大学は学習院の心理学科を卒業されていますが、進もうと思われた理由は何ですか?


戸梶圭太氏: 大学を受ける時にまず考えたことは、田舎には行きたくないということ。僕は実家が練馬なので、23区内がいいなと思ったのと、できれば4年間ずっと同じキャンパスがよかった。また、高校生の時から、集団の心理、社会心理学みたいなものに少し興味がありました。

――大学は、就職を念頭に選ばれる方が多いようですが。


戸梶圭太氏: 僕の場合、音楽をやると決めていたので、それはなかった。当時は、思いきりバブルの時代だったので、「フリーターの方が稼げる」のような社会風潮もあり、無職の人に対する目が、すごく温かかった(笑)。

――それから、30歳ぐらいまでは音楽活動をされていたんですね。


戸梶圭太氏: バイトをしながら曲を作ったり、ライブをやったり。僕はデモテープを作るようなスタジオ作業的なこと、つまみを動かしたりとか、トーンをつけたり、そういう細かいところを作り込んで行くのが好きでした。僕にはすごく雑なところと細かいところが同居しているんです。それは作品にも現れていると思います。

グループで作るバンドから一人で完成させられる小説へ。


――なぜ小説を書こうと思われたのですか?


戸梶圭太氏: デモテープをプロデューサーの人に持って行って、「何か歌ってみてくれないかな」と言われた時に、僕が歌えなかったこと、楽譜などもあまり書けなかったことも大きかったです。一人で完成させることができないことに、「これはちょっとイヤだな」と。



そのころは二十代後半で、ミュージシャンは二十代の前半ぐらいでデビューできないときつかったので、その後デビューしてもまず無理だと。当時はネットで発表する仕組みすらなかったので、レコード会社からデビューできなかったら、何をやっても無駄だったのです。

――今では、YouTube発みたいなこともありますね。


戸梶圭太氏: あれもうさんくさいと思います(笑)。本当は誰も見てくれないのに発表する場は一応あるという、ヘタな希望があるじゃないですか。そういう希望がなかったから、僕はあきらめられたし、「自分一人で全部完結できる小説の方がいいな」と思えました。しかも当時ネットがまだなかったので、デビューと言えば出版社の新人賞以外はなかった。今みたいに投稿サイトにアップして自己満足できなかったので、運が良かったと思います。自分の作品がお店で買えるという状況になりたいと思いました。

新潮社と角川書店、両方の最終選考に残って流れに乗る。


――『闇の楽園』でデビューされましたが、それまでどんなお気持ちで書かれていましたか?


戸梶圭太氏: 27歳ぐらいから、ワープロで小説を書き始めました。そのころ新潮と角川の新人賞に毎年応募していて、最初の時に一次選考は通り、次は共に最終選考に残ったので、この調子でいけば何とか行けるだろうと楽観的に思いました(笑)。最終的に新潮の方で賞を取って、3年かかってデビューできました。
今なら小説家になりたい人は、ネットで調べていろいろな情報を取り込んで、「自分には無理だな」となってしまうかもしれませんが、まだ当時はそういう環境でなかったことも良かったと思います。

著書一覧『 戸梶圭太

この著者のタグ: 『心理学』 『映画』 『音楽』 『原動力』 『グローバル』 『小説家』 『アート』 『無意識』

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