小暮真久

Profile

1972年生まれ、東京都出身。 早稲田大学理工学部機械工学科卒業、スインバン工科大学工学修士号取得。 マッキンゼー・アンド・カンパニー東京支社で ヘルスケア、メディア、小売流通、製造業など幅広い業界の組織改革・オペレーション改善・営業戦略などのプロジェクトに従事。 同社米ニュージャージー支社勤務を経て、2005年、松竹株式会社入社、事業開発を担当。 2007年にNPO法人TABLE FOR TWO Internationalを創設。 2011年にはスイスのシュワブ財団が表彰する「アジアを代表する社会起業家」5名の1人に選ばれた。

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ビジネスを勉強したくてマッキンゼーに入社。


――その最初の一歩が、今のお仕事につながっている気がしますが、海外での様々な経験を通じて、自分で変わったなと思う点はありますか?


小暮真久氏: 海外の、色々なバックグラウンドを持つ人と交流することがすごく面白かったので、自分に合っていると感じました。「国内だけでなく海外とつながる仕事がしたい」と漠然と思い始めていたのかもしれません。そういう気持ちも少しはありましたが、新卒で就職したマッキンゼーを選んだ時は、それよりも「ビジネスを勉強したい」という気持ち強かった気がします。

――将来のビジョンなどはその当時からお持ちでしたか?


小暮真久氏: 当時は人工心臓の研究をしていて、「人のためになるものは、結局ビジネスにしないと、本当に必要にしている人に届かない」という考えがあったために、まずはビジネスを学びたいと思いました。

様々な出会いがあり、TFTの活動へいざなわれる。


――マッキンゼーでのコンサルティング経験が、今のお仕事にも生かされていると思いますが、TFTを実際に始められるまで、色々な節目というのがあったかと思いますが。


小暮真久氏: マッキンゼーを辞めて、松竹という会社で仕事をしていましたが、仕事での達成感や充実感は得られず「何かを変えよう」と考えていました。「自分は本当に何が好きなんだろう」と色々と考えた時に、「何か新しいものを作っていく」「人から感謝されること」「グローバル」といういくつかの要素が見えてきたんです。そのエッセンスを凝縮した仕事とはなんだろうと考えていた時に、マッキンゼーのニューヨーク支社にいた頃に、ソーシャルビジネスやNPOで活躍する同僚がいたことを思い出しました。その時に、自分のやりたい仕事の方向がおぼろげながら見え始めて、その後、マッキンゼーの出身のビル・ドレイトンという人の論文を読んで、「これが本当に自分のやりたいことだ」と確信しました。

――その後仕事を始めるにあたって、苦労や、悩んだことはありませんでしたか?


小暮真久氏: 日本ではそういう団体はあっても、ビジネスとしてやっているところはなかったので、どうやって仕事を始めたらいいのだろうと悩みました。その時にマッキンゼーの先輩の、近藤正晃ジェームスという人から「TABLE FOR TWO」の原案の話を聞かされて、「やりたい」という話になりました。それが2007年ぐらいのことです。その際、99%は心が決まっていたものの、残り1%に迷いがあった。その時に、アメリカの経済学者ジェフリー・サックス氏に会える機会があり、彼のビジョンや彼が持っている世界観に感動しました。彼も「TABLE FOR TWO」はすごくよいアイデアだと言ってくれましたので、やるしかないと決心することができました。それで35歳の時に会社に辞表を出して、今に至ります。本当にゼロベースからの立ち上げだったので、大変でした。

――その時のお気持ちはどのようなものでしたか?


小暮真久氏: 時が経っているので、あまり覚えていないところもありますが、不安というものはそれほどなかったような気がします。その当時の仕事よりも、もっと自分にあったこと、やりたいと思うことへ向かって、早く飛び出していきたいという気持ちの方が強くて、負の感情というのはあまりありませんでした。

仕事は自分の思いを実現するためのもの。


――仕事に対して、どのようなお気持ちで取り組まれていますか?


小暮真久氏: 自分が生まれてきた理由や、使命を達成するための術だと思っています。僕にとって仕事とはお金、生活費を稼ぐというものではなく、「自分が本当に思っていることを実現するもの」だと感じています。自分の名前の由来になっている「世のため人のため」で、人からも感謝されるということをする、というその思いが強いです。

――ご本を執筆されるきっかけはどのようなものでしたか?


小暮真久氏: TFTを立ち上げた当時は、赤字でした。参加団体数も数十団体で、まだまだこれから頑張らなければという時期には、営業活動の一環として講演会を行ったりして、町民会館のようなところにもオファーがあれば行きました。数十名くらいの規模の講演会をやっていた時に、編集の方が「本を書きませんか?」と声をかけてくださいました。でも、その時点では本を書くような団体ではないし、実績もまだそれほど世間に高々と言えるほどのものでもなかったので、ピンときませんでした。でも話を聞いていくうちに、編集の方は、TFTがとっているアプローチにすごく感銘を受けてくださって、僕のTFTを始めるまでの経歴のチェンジの部分が面白いと感じてくれたということが分かりました。「今、世の中に社会起業家が出している本はあるけれど、人生激動系が多いから、それではセクター自体が広がっていかない。一般の人でも体系化できるといったように、もう少しシステムチックに伝えられるべきであって、それができるのは小暮さんしかいないと思う。そういう視点で書きませんか?」というオファーだったんです。「本を使って社会起業家を増やし、TFTの認知向上にもつながるような、2つの目的で本を書きませんか?」と仰ってくれて、僕はこの人となら一緒に仕事をしてみたいと思いました。

――編集の方の言葉が、小暮さんを後押しした感じですね。


小暮真久氏: 社会起業家本というよりも、ビジネス本としての内容にしようということで企画を通しました。TFTも仕組みや理念がいいというだけではダメで、色々なところで広がり、その上で寄付を作っていくことが重要です。そういった意味では本も全く同じだと思っています。最初の『「20円」で世界をつなぐ仕事』という本は、大切に読んでくれている人がすごく多く、あの本がきっかけでTFTプログラム参加に至った団体もたくさんありますので、今から思うと、「事を成し遂げてくれた本だな」という気がしています。その後数冊出させていただいていますが、本に助けられたということに関しては、最初の本については特に強く感じています。

著書一覧『 小暮真久

この著者のタグ: 『英語』 『旅』 『海外』 『食』 『子ども』 『運動』 『NPO』 『育児』

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